道具職人とロートアイアン
わたしたが想像した道具職人は、銅より前に偶然に金を見つけ、何かきらきら輝く安っぽい飾りをつくっていたのであろうか。
おそらくそうに違いない。
考古学者のなかでもそう考える人びとがいます。
だが重要なことは、銅はやはり最初に実用化され、わたしたちの生活様式に大きな影響を与えた道具や武器になったロートアイアンだと思われることです。
間もなく勃興しようとしていた古代文明の発祥地が、まさに銅の多産地であったことを、単なる偶然とするわけにはいかない。
中近東の全域、つまりイラク、イラン、シリアの一部、シナイ砂漠、アナトリア地方の平野や山麓にわたって広がっている玄武岩のような塩基性岩には、純度の高い自然銅や銅を秘めた鉱脈が入り組んでいます。
地質年代を経ていくうちに、地表に接近している鉱脈は気象の作用を受けて徐々に露出しでした。
そして、こめ鉱脈の周囲にあった土砂が崩れたあと、銅を含んだ断片が裂けて崩れ落ちたのです。